閉経を迎えたあと、下着に血がついていて驚いた経験はありませんか?
「閉経したはずなのに、どうして出血するの?」「少しだけなら様子を見ても大丈夫?」と不安に感じる方もいるでしょう。
閉経後にみられる出血は月経ではなく、「不正出血(閉経後性器出血)」として扱われます。原因には加齢に伴う腟の変化など比較的心配の少ないものもありますが、子宮体がんなどの病気が隠れていることもあるため注意が必要です。
この記事では、閉経後に不正出血が起こる原因や、出血がみられた場合の受診の目安について詳しく解説します。
【不正出血?】閉経後に生理がくることはある?
閉経は誰にでもおとずれる自然な変化であり卵巣の機能が徐々に低下し月経が停止した状態をいいます。一般的には、最後の月経から12か月以上月経がないことを確認したうえで、閉経と判断されます。
日本人女性の平均的な閉経年齢は約50歳といわれています。
基本的に閉経後に再び月経が起こることはありません。
そのため、閉経後に性器から出血がみられた場合は、「また生理がきた」と考えるのではなく、不正出血として原因を確認することが大切です。
閉経後の不正出血にはさまざまな原因があります。
出血量が少ない場合や一度だけの場合でも、自己判断で様子を見続けず、婦人科を受診しましょう。
閉経後の不正出血から考えられる原因
閉経後の不正出血には、さまざまな原因が考えられます。
主なものとして、以下が挙げられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
萎縮性腟炎(老人性腟炎)
萎縮性腟炎は、閉経後の女性にみられやすい腟の炎症で、老人性腟炎と呼ばれることもあります。
閉経すると、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が低下します。エストロゲンが減少すると腟の粘膜が薄くなって乾燥し、刺激に弱くなります。そのため、下着による摩擦や性行為などのわずかな刺激でも粘膜が傷つき、出血することがあります。
また、腟粘膜の萎縮や腟内環境の変化によって炎症が起こりやすくなり、出血のほか、腟の乾燥感やヒリヒリ感、かゆみ、性交痛などを伴うこともあります。
なお、現在ではこうした閉経後の女性ホルモン低下に伴う腟や外陰部、尿路などのさまざまな症状をまとめて「閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)」と呼ぶこともあります。
閉経後に起こりやすい変化ではありますが、出血だけで原因を判断することはできません。ほかの病気が隠れていないことを確認するためにも、不正出血がみられた場合は婦人科を受診しましょう。
ポリープ(子宮内膜ポリープ・子宮頸管ポリープ)

ポリープとは、粘膜から突出するようにできる病変です。
子宮内膜にできるものを「子宮内膜ポリープ」、子宮頸管にできるものを「子宮頸管ポリープ」といいます。
多くは良性ですが、ポリープのある場所や大きさなどによっては、不正出血の原因になることがあります。
特に閉経後に出血がみられた場合は、見た目や症状だけで良性・悪性を判断することはできません。そのため、必要に応じて超音波検査や組織検査などを行い、原因を確認します。
子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋肉(平滑筋)にできる良性の腫瘍です。筋腫ができる場所や大きさによっては、月経量の増加や不正出血、下腹部の圧迫感などの症状を引き起こすことがあります。
子宮筋腫は女性ホルモンであるエストロゲンなどの影響を受けて大きくなるため、一般的には閉経後、女性ホルモンの分泌が低下すると小さくなる傾向があります。
そのため、閉経後に子宮筋腫が大きくなっている場合や、不正出血などの症状がみられる場合には、ほかの病気との鑑別も含めて詳しい検査が必要になることがあります。
がん(子宮体がん・子宮頸がん)

閉経後の不正出血で特に注意したい原因のひとつが、婦人科のがんです。なかでも子宮内膜に発生する「子宮体がん」は、閉経後の不正出血をきっかけに発見されることがあります。
子宮体がんの好発年齢は閉経前後の40代~60代で、近年増加傾向にあります。 初期から不正性器出血や茶色のおりものが出現し、症状が現れた段階で速やかに受診して診断できれば完治する可能性も高いがんです。
閉経後に出血がみられた場合は、出血量や色にかかわらず婦人科で相談することが大切です。
なお子宮頸がんに関しては不正出血で判明することは少ないです。
ホルモン補充療法(HRT)に伴う出血
更年期症状の緩和などを目的としてホルモン補充療法(HRT)を受けている場合、治療に伴って性器出血がみられることがあります。
特に治療を開始して間もない時期などには、不規則な出血が起こる場合があります。
ただし、「HRTをしているから出血しても問題ない」と自己判断するのは避けましょう。
出血が長く続く、出血量が増えている、これまでとは異なる出血がみられるなどの場合には、治療を受けている医療機関へ相談してください。
【茶色・鮮血・血のかたまりなど】閉経後の不正出血は色や量で原因がわかる?
結論からいうと、出血の色や量だけで原因を特定することはできません。
閉経後の不正出血では、鮮血が出ることもあれば、茶色や褐色のおりもののように見えることもあります。また、下着に少量つく程度の場合から、出血量が多く血のかたまりがみられる場合まで、出血の状態はさまざまです。
色や量は出血の状態を知る手がかりにはなりますが、それだけで病気の種類や重症度を判断することはできません。
出血の色|鮮血・茶色・褐色
出たばかりの血液は鮮やかな赤色に見えることがあります。一方、出血してから時間が経つと血液が酸化し、茶色や褐色に見えることがあります。おりものに少量の血液が混ざり、茶色っぽく見える場合もあります。
そのため、「鮮血だから重い病気」「茶色だから心配ない」といった判断はできません。
出血の量|少量・多量・血のかたまり
閉経後の不正出血は、下着に少し血がつく程度のこともあれば、出血量が多くなることもあります。また、出血量が多い場合には、血液が固まってレバーのようなかたまりとして出てくることがあります。
少量だから心配ないとは限らず、一度だけの出血であっても原因を自己判断することはできません。閉経後に出血がみられた場合は、婦人科で相談しましょう。
なお、出血が止まらない、短時間でナプキンの交換が必要になるほど出血量が多い、めまいやふらつきなどを伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。
閉経後の不正出血で受診する目安
閉経後に不正出血がみられた場合は、出血量や色、回数にかかわらず、一度婦人科を受診することをおすすめします。
閉経後の出血には、萎縮性腟炎やポリープなどさまざまな原因がありますが、子宮体がんなどの病気が隠れていることもあります。
「少量だから大丈夫」「一度だけだから様子を見よう」と自己判断せず、出血が止まっている場合でも婦人科で相談しましょう。
特に、以下のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。
- 出血量が多い、または出血が止まらない
- 出血が続いている
- 徐々に出血量が増えている
- 強い腹痛などの痛みを伴う
- めまい、ふらつき、息苦しさなどを伴う
出血量が非常に多い場合や、めまい・ふらつきなど全身の症状が強い場合には、総合病院の受診を検討してください。
また、ホルモン補充療法(HRT)を受けている方も、「治療による出血だろう」と自己判断せず、出血が続く場合やこれまでと異なる出血がみられた場合には、治療を受けている医療機関へ相談しましょう。
閉経後の不正出血に関するQ&A
最後に、閉経後の不正出血に関するよくある疑問を紹介します。
閉経後の不正出血ではどのような検査をする?
閉経後の不正出血で婦人科を受診した場合は、問診や内診、超音波検査などを行い、出血の原因を調べます。
子宮体がんなどが疑われる場合には、子宮内膜の細胞や組織を採取して調べる検査を行うこともあります。検査によっては、結果がわかるまでに時間がかかる場合があります。
必要な検査は症状や年齢、診察結果などによって異なるため、医師の判断により行われます。
閉経後に性行為のあと出血することはある?
閉経後はエストロゲンの減少によって腟の粘膜が薄くなり、乾燥して刺激に弱くなるため、性行為による摩擦で出血することがあります。
ただし、性行為後の出血にはポリープや子宮頸部の病気など、ほかの原因が隠れている場合もあります。「性行為によるものだろう」と自己判断せず、閉経後に出血がみられた場合は婦人科で相談しましょう。
閉経後の不正出血は自己判断せず婦人科へ
閉経後に不正出血がみられると、「何か重大な病気なのでは」と不安になる方も多いでしょう。閉経後の不正出血には、萎縮性腟炎やポリープ、ホルモン補充療法(HRT)に伴う出血などさまざまな原因があり、必ずしもがんが原因とは限りません。
一方で、子宮体がんなどの病気が隠れている可能性もあるため、出血の量や色だけで原因を自己判断することはできません。少量の出血や一度だけの出血であっても、閉経後に不正出血がみられた場合は、一度婦人科を受診して原因を確認することが大切です。
不安な症状がある場合は、一人で悩まず婦人科へ相談しましょう。
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