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不正出血の原因とは?セルフチェックや病院を受診する目安も紹介

医療法人みらいグループ
不正出血の原因とは?セルフチェックや病院を受診する目安も紹介

多くの女性にとって身近な現象である生理、しかし生理以外の時期に出血し驚いたことのある人も少なくないでしょう。生理以外で起こる出血を不正出血と言います。さまざまな原因で起こる不正出血は女性の体からのSOSと呼ばれることもあり、実は大きな病気が隠れていることも。

この記事では不正出血が起こる原因や、原因となる病気、受診するタイミングなども解説します。「これって不正出血なの?」と疑問に思っている人は、セルフチェックも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

不正出血とは

基本的に膣からの出血で、生理以外の理由で起こるもの全てを不正出血と呼びます。健康な女性に起こる膣からの出血は、月経もしくは排卵出血によるものに限定されるため、その他の出血は全て不自然なものと考えてよいでしょう。
中には、病気のサインとして不正出血が起こるケースもあります。

【少量・一日だけ・鮮血・茶色など迷った時には】不正出血セルフチェック

不正出血といっても、さまざまなパターンがあります。鮮血などの場合は特に分かりやすいですが、下着に極少量つく程度や、一日で出血が収まる程度、また茶色のおりものが出ている程度など自己判断に迷う人も多いです。

まずは、以下のセルフチェックであてはまるものにチェックを入れてみてください。

  • 下着にわずかな血がついている
  • 茶色のおりもの
  • 生理時期以外の鮮血の出血
  • 生理時期以外の出血が起こり1日で収まった
  • 閉経後の出血
  • 痛みや痒みを伴う出血

いかがでしょうか。1つでもチェックがついているなら不正出血です。また、【閉経後の出血】【痛みや痒みを伴う出血】の場合は、緊急性の高い不正出血の可能性があります。至急、婦人科を受診しましょう。

生理不順と不正出血の違い

不正出血かどうか迷う時に多いのが「生理不順との違いが分からない」というもの。生理周期は一般的に25~28日で、基礎体温の変化が見られます。生理不順の場合でも生理が起こる前は必ず基礎体温に変化があるでしょう。

生理周期が安定しない人は、日常的に基礎体温を記録することで、生理不順と不正出血を見分けることができます。

不正出血の種類

不正出血は原因によって4つの種類に分類されます。

器質性出血

病気が原因で起こる不正出血を器質性出血といいます。膣に直結する部分に問題が起きていることがあり、膣・子宮・卵巣などの病気のサインとして見られる不正出血です。

機能性出血

ホルモンバランスの乱れが原因で起こる不正出血を機能性出血と言います。脳下垂体、卵巣などから分泌されるホルモンバランスの乱れが原因で起こり、ストレスなどが影響することも珍しくありません。

中間性出血

生理と生理の間に起こる排卵が原因の不正出血を中間性出血といいます。病的な不正出血ではなく、基礎体温などを付けて排卵の時期と一致している場合、特に問題のない出血と考えられます。

その他の出血

器質性出血、機能性出血、中間出血以外にも、妊娠する際に起こる着床出血や妊娠中の出血、外傷などで起こる出血も全て不正出血のひとつです。

低用量ピルが原因で不正出血する人も多い

不正出血の悩みでよく聞かれているのが低用量ピルの服用について。実際に、低用量ピルの服用を始めた人の内、約3割の人が不正出血を起こすと言われています。これは、低用量ピルに含まれる女性ホルモンによって、一時的にホルモンバランスが乱れることが原因です。

低用量ピルを服用し続けることで、適切なホルモンバランスに整えられるため自然に不正出血が起こらなくなる人がほとんどです。ただし、出血量が多い、出血が止まらないなどの場合は、かかりつけ医を受診してください。

不正出血の原因となる病気

不正出血の原因となる病気にはさまざまなものがあります。

子宮の病気

不正出血の原因となる子宮の病気には以下のものがあります。

子宮筋腫

子宮に筋腫(良性のこぶ)ができる病気で、30代以降に多くみられます。自覚症状はほとんどなく、筋腫が大きくなることで、強い生理痛、不正出血などが起こり、症状が判明する人も少なくありません。

子宮内膜ポリープ

子宮にポリープ(良性のできもの)ができる病気で、特に30代から50代の女性に多くみられます。多くの場合、子宮ポリープは良性ですが、中には子宮体がんがポリープ状になっているケースもあるため、精密検査を行い良性であることを確認しておくことが大切です。ポリープが大きくなることで、不正出血の他、月経過多やそれによる貧血などの症状が現れることもあります。

子宮腺筋症

子宮平滑筋という部分が分厚く病変する病気で、40代の経産婦に多くみられます。不正出血の他、月経過多や腰痛、腹痛などを伴うこともあり、不妊症の原因とも考えられています。
子宮内膜増殖症

子宮内膜が排出されず増え続けてしまい、放置すると子宮体がんに移行する恐れもある病気です。ホルモン異常が引き金となって起こるケースが多く、閉経前や排卵障害のある人の発症リスクが高いと言われています。

子宮体がん

子宮体がんは子宮にできるがんで、50代以上に特に多くみられます。子宮体がんは初期状態で不正出血を起こすことが多く、血の混じったおりもの分泌や月経量の増加などが起こることもあります。

卵巣の病気

不正出血の原因となる卵巣の病気には以下のものがあります。

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍は、卵巣にできる腫瘍の総称で年代に関わらず誰にでも発症するリスクがあります。腫瘍は良性・悪性どちらのケースもあり、下腹部痛、頻尿、お腹の膨脹感を感じることも。悪化したまま肥大化すると腫瘍が破裂し、大量の不正出血が起こる可能性もあります。

卵巣機能不全

卵巣機能不全は、卵巣の働きが正常に行えなくなる病気です。10代から50代まで幅広い年代で起こる可能性のある病気ですが、発症する年代によって症状の現れ方が違うと言われています。卵巣機能不全によってホルモンが正常に分泌されないことで、不正出血の他、月経周期の乱れ、無月経なども引き起こすことがあります。

膣の病気

不正出血の原因となる膣の病気には以下のものがあります。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管にポリープ(良性のできもの)ができる病気です。良性のケースは経過観察をする場合も多いですが、組織が柔らかく性交やスポーツ、いきみなどで不正出血しやすい傾向にあります。また、おりものが増えるのも子宮頸管ポリープの特徴といえるでしょう。ただし、まれに子宮頸がんがポリープ状になっているケースもあるため、精密検査を行い良性であることを確認しておくことが大切です。

子宮頚がん

子宮頚部にできるがんで、ヒトパピローマウイルスが原因で起こります。性交経験のある全ての女性に発症リスクがあり、子宮に関するがんの中で最も多くみられているのが子宮頸がんです。不正出血の他、性交時の出血や、下腹部痛などを伴うことがあります。

子宮膣部びらん

びらんとはただれている(もしくはただれているように見える)状態を指し、子宮膣部びらんは子宮膣部にびらん症状がみられる状態です。10代から30代までに多くみられ、不正出血の他に痛みや痒み、性交痛、おりものの変化などがみられることもあります。子宮膣部びらんは、子宮頸がんの初期病変によく似ているため、精密検査を受けてがんではない事を確認しておくことが大切です。

妊娠が原因となる病気

不正出血の原因となる妊娠中の病気には以下のものがあります。

異所性妊娠

異所性妊娠は子宮外妊娠としても知られており、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床してしまうことです。不正出血の他に下腹部痛などを引き起こすことも多く、処置が遅れると着床した部分が受精卵の成長に堪え切れず破裂してしまい大量出血やショック状態に陥り命の危険もあります。

流産

切迫早産などを含む流産の前兆や、胎盤剥離などのトラブルによっても不正出血が見られることが多いです。不正出血の他、大量の鮮血や激しい下腹部痛を伴うことも少なくありません。

ストレスが原因で不正出血が起こる原因

人はストレスを感じると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールが分泌されている間、女性ホルモン(プロゲステロン)の生成が抑制されるため、ホルモンバランスが崩れ、不正出血を引き起こしやすい状態になります。

特に、人間関係の悩みや睡眠不足、スマホやパソコンによるブルーライトが引き起こす交感神経の刺激などはストレスとして体が感知しやすいです。不正出血の原因として「ストレスのせいかも…」と思う人は、積極的にストレス発散やホルモンバランスを整える生活を心がけてみましょう。

20代の不正出血は様子をみてもいいって本当?

女性のホルモンバランスは、初経を迎える思春期から20代半ば位まで不安定な状態が続きます。そのため、10代や20代は特に不正出血が多い年代と言えるでしょう。ホルモン分泌の成長が続いていることから、20代なら不正出血が起きても様子を見てもいい、なんて言う人もいます。多少の不正出血が起こっても「ホルモンバランスが乱れているだけだから」と判断してしまう人が多いということでしょう。

しかし、実際は子宮内膜症や子宮頸がんなど、10代や20代でも発症する病気が原因で不正出血が起きているケースも少なくありません。特に不正出血の場合、膣からの出血だと思っていたら尿道や肛門からの出血だった、なんてケースもあり全く別の病気が判明することもあります。「若いから」「ホルモンバランスが安定すれば大丈夫だから」と過信せず、医師の診察を受けることが大切です。

40代の不正出血は特に注意

40代の後半に差し掛かると、体は徐々に閉経する準備を始めます。無排卵性の生理や生理周期がこれまでより短くなることもあるでしょう。実は、40代以上の人は、子宮や生理に関するトラブルがとても起こりやすいのです。

中でも注意したいのが、子宮頸がんや子宮体がんなどの有無です。特に子宮体がんは40代後半から発症率があがり、50代の発症例も多く報告されています。不正出血が起こった際には、まず精密検査を行い「がんが原因ではない」という事実を明らかにしておくことが重要と言えるでしょう。

不正出血はどのくらい続いたら病院へ行くべき?

不正出血の悩みで最も多いのが「何日続いたら病院へ行くほうがいいの?」というもの。

答えは、「1度でも不正出血が起きたら」です。

不正出血の場合、子宮や卵巣、膣など、どこからの出血か自己判断するのが難しいです。そのため、医師の診察で原因をハッキリさせておくことが大切といえます。病気が原因なのか、ホルモンバランスが原因なのか、その他の原因があるのか等、専門的な知見から診断してもらいましょう。

女性は毎月生理があり、膣からの出血に慣れている人が多いです。不正出血を確認しても「この位大丈夫」と思ってしまう人も少なくないでしょう。しかし、実際にそのまま放置したことで重大な病気を早期発見できなかったというケースがたくさんあります。

些細な症状でも医師が「この程度の不正出血で検査をする必要はない」なんて言うことはありません。少量の不正出血でも、気軽に受診してみてください。

不正出血の検査方法

不正出血の原因を調べるためには、以下のような検査を用います。

妊娠反応検査 尿検査による妊娠判定を行います
血液検査 血液を採取し女性ホルモンの分泌量や、貧血の有無などを調べます
おりもの検査 おりものを採取し、細菌の有無や性感染症の有無などを調べます
超音波検査 経腹エコーによって超音波で子宮や卵巣に腫瘍など、不正出血の原因となる要因がないか調べます
子宮頸がん・子宮体がん検査 子宮頚部の細胞を採取し、がんの有無を調べます

不正出血の治療方法

不正出血の場合、原因に応じた治療を行います。

ホルモンバランスの乱れが原因と考えられる場合、少量の不正出血なら生活習慣の改善などを指導して経過観察をします。しかし、不正出血が長く続く場合や出血量が多く貧血などを伴う場合、ホルモン剤を処方して薬剤によりホルモンバランスを整えます。

その他、ポリープやがんなどは治療方針を患者とよく相談し医療方針を決めるケースが多いでしょう。疑問を残さず納得できる治療を受けられるよう、医師とよく話し合って治療方法を決めていくことが大切です。

まとめ

不正出血はさまざまな原因で起こり、中には体の中で重篤な病気が発生している事を伝えるSOSサインとして現れるものもあります。「すぐに収まったから」「生理の出血程ではないから」など、不正出血を放置してしまうとSOSサインを見逃してしまう可能性も。不正出血が見られた場合は、些細な出血でも医師に相談し「病気が原因ではない」と確認し、安心して過ごせるようにしましょう。

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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