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女性ホルモンの役割とは?多い場合や少ない場合の変化や増やす方法も紹介

医療法人みらいグループ
女性ホルモンの役割とは?多い場合や少ない場合の変化や増やす方法も紹介

出産に関わる他、女性らしい体つきや肌や髪の美しさにも関係する女性ホルモン。今より綺麗に生き生きと過ごせるなら、女性ホルモンを増やしたいと考える人も少なくないでしょう。

しかし、実際に女性ホルモンとはどのような役割を持っているのか、増えたり減ったりすることで体にどのような変化をもたらすのか知らない人も多いです。

この記事では、女性ホルモンについて種類や役割、生理周期や年代による変化、多すぎたり少なすぎたりすると体にどのような変化を与えるのか、なども詳しく解説します

ホルモンとは

女性ホルモンについて話をする前に、私達が生きるのに欠かせないホルモンについてどのようなものなのか紹介していきます。

ホルモンの役割

ホルモンは体内のさまざまな器官から分泌される物質の総称です。血液などを通して全身を巡る中でさまざまな器官に働きかけ、生体恒常性(ホメオスタシス)を保つ役割をもっています。

ホルモンの代表的な整体恒常性を保つ働きに、体温を常に一定に保つため体温の微調整をしたり、血糖値や血圧を調整したりするものがあります。

ホルモンを作る器官

ホルモンの多くはアミノ酸から作られており、以下の器官によって生成・分泌されています。

ホルモンを作る代表的な器官
  • 脳下垂体
  • 甲状腺
  • 副甲状腺
  • 副腎
  • すい臓
  • 生殖腺(卵巣や精巣)

この他、腎臓や骨髄、脂肪細胞などさまざまな器官でホルモンが作られ、ホルモンの種類は100を超えると言われています。

女性ホルモンとは

女性ホルモンとは、エストロゲンやプロゲステロンなど、女性の体内で多く生成されるホルモンのことです。生理や妊娠・出産など、女性特有の現象に深く関係しており、女性の心身の健康にも大きな影響を与えるホルモンと言えます。

男性にも女性ホルモンがあるって本当?

女性ホルモンの多くは卵巣から分泌されます。そのため、卵巣のない男性は、女性ホルモンを持たないと思われがちですが、そんなことはありません。精巣から分泌されるテストテロン(男性ホルモン)は、その一部がエストロゲンに変わります。

そのため、女性に比べるとわずかですが、男性も女性ホルモンを体内に持っているのです。

また、女性の体内にも男性ホルモンが存在します。卵巣からは女性ホルモンだけでなく、男性ホルモンも分泌され、筋肉や骨の発達、皮脂の分泌促進、体毛の発育促進、性欲の向上、内臓脂肪の抑制などの役割を担っているのです。

女性ホルモンの種類と役割

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。続いては、それぞれの役割についてみていきましょう。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

エストロゲンは卵胞から分泌されるホルモンで、卵胞ホルモンとも言われます。
血管や骨などを健康な状態に保ち、コラーゲンの生成を促進することから「美人ホルモン」などと呼ばれることもあり、思春期から性成熟期にかけて体の成長と共に増加するのが特徴です。最も多く分泌されるのは20代。更年期になると徐々に分泌量は低下していきます。

エストロゲンの働き
  • 子宮内膜を厚くする
  • 乳房の発育を促す
  • 骨を形成する
  • 自律神経を調整する
  • 肌つやを良くする など

プロゲステロン(黄体ホルモン)

プロゲステロンは黄体から分泌されているため、黄体ホルモンとも言われています。基礎体温のコントロールや子宮内膜の維持などの役割を持ち、生理周期において基礎体温と同じタイミングで分泌量を変化させるのが特徴です。

プロゲステロンの働き
  • 基礎体温を上げる
  • 子宮内膜の環境を整え着床しやすい状態を維持する
  • 乳腺を発達させる
  • 排卵を止める

女性ホルモンが多いとどうなる?少ないとどうなる?

女性ホルモンにはさまざまな働きがあり、適正なバランスが保たれることで心身を正常に保っています。ホルモンは少量で大きな効果を引き出すため、些細な乱れが大きな異常となってあらわれることもあるでしょう。何らかの原因で女性ホルモンのバランスが崩れてしまうとさまざまな心身の異常を引き起こす可能性もあるのです。

続いては、女性ホルモンが多すぎた場合や少なすぎた場合、体にどのような異変が起こるのか紹介していきます。

多い場合

エストロゲンの分泌量が多すぎる場合、子宮内膜が厚くなりすぎることで生理が重くなったり、脂肪を蓄えやすくなり肥満に繋がることもあります。その他にも、偏頭痛、無排卵、不安感、疲労感などを訴えるケースも少なくありません。

また、エストロゲンの過剰分泌が長く続くと乳腺症、乳がん、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮体がん、子宮頸がんなどのリスクも高まると言われています。

一方、プロゲステロンが多すぎる場合、情緒不安定、眠気、だるさ、肩こり、腰痛、肌荒れなどが起こりやすくなるでしょう。プロゲステロンは生理前などに多く分泌されている女性ホルモンなので、生理前の心身のトラブルを想像すると分かりやすいかもしれません。

少ない場合

エストロゲンの分泌量が少なすぎる場合、生理不順や無月経など妊娠や出産に関わる機能が低下してしまいます。また、肌荒れ、情緒不安定、不眠、むくみなどさまざまな症状があらわれる他、骨が弱くなったり血管の病気にかかりやすくなることもあるでしょう。

女性が更年期後に骨粗鬆症や動脈硬化、脳梗塞、高血圧などの病気を発症しやすくなるのは、閉経によりエストロゲンの分泌量が大幅に減少することも原因のひとつと考えられています。

一方、プロゲステロンが少なすぎる場合、黄体機能不全という病気が疑われ不妊を引き起こす可能性が高くなります。

年齢や生理周期で起こる女性ホルモン分泌の変化

女性ホルモンは生理周期や年齢によって変動し続けます。それぞれの女性ホルモンの変化についてもみていきましょう。

生理周期による変化

生理周期による変化

エストロゲンは生理中から徐々に増加しはじめ、排卵の前にピークを迎えます。この時期は、肌つやや精神面の調子がよく、生理周期の中で女性が最も生き生きと過ごせるタイミングです。排卵するとエストロゲンは急激に減少し、妊娠が成立しない場合は月経開始に向けてじんわりと分泌量が下がり続けます。

プロゲステロンは、エストロゲンに反比例するように分泌されるのが特徴です。生理中やそのその後は少ない状態が続き、排卵が近くなっていくと徐々に増加します。排卵直後には急激に分泌量が増加し、妊娠が成立しない場合月経開始に向けてまた急激に減少していくのです。

年齢による変化

女性ホルモン量の変化

女性ホルモンは小学校高学年位から徐々に分泌量が増加し、初経を迎えると分泌量が急増します。これにより、思春期にはバストが大きくなったり、丸みのある女性らしい体付きになるなど、外見にもさまざまな変化があらわれるでしょう。

思春期の後半とも言われる18~20歳頃には分泌量も徐々に落ち着き始め、20代から40代半ば位までの性成熟期には安定して分泌されるようになります。

その後、更年期を迎える45~55歳位までの間に女性ホルモンの分泌量は激減し、更年期障害などを発症する人も多いです。更年期中には閉経を迎え、その後も徐々に女性ホルモンの分泌量は減少し続けます。

老年期には、男性と同等程度の女性ホルモンしか分泌されず、ひげが生える、髪が薄くなるなど男性ホルモンの影響を受ける人も少なくありません。

女性ホルモンの分泌を促すポイント

女性が一生の内に分泌する女性ホルモンは、ティースプーン1杯ほどだと言われています。ほんの僅かな量でも体内にさまざまな影響を与えるホルモン。適切な量の分泌を促すには以下のポイントに気を付けて毎日を過ごしてみてください。

バランスのよい食生活

体内のホルモン分泌を正常に保つためには、バランスのよい食事が欠かせません。また、食事のタイミングについて、1日3回決まった時間に摂るのがよいといわれています。

タンパク質はホルモンの原料となるため、毎日必要量を適度に摂取することも大切です。また、ホルモンの生成には原料であるタンパク質以外にもさまざまな栄養素が必要不可欠と言えるでしょう。ビタミン類やオメガ3系脂肪酸、マグネシウム、カリウムなどさまざまな栄養素をバランス良く取り入れることが大切です。

睡眠の質を向上させる

女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、卵巣にホルモン分泌の指示を出しているのは脳の視床下部です。充分な睡眠を摂らず疲弊し、脳の働きが悪くなってしまうと女性ホルモンに限らず、全身のホルモン分泌の指示系統が乱れてさまざまな影響を及ぼすでしょう。

充分脳を休められるよう以下のポイントに気を付けて睡眠の質を高めてみてください。

睡眠の質を高める方法
  • 就寝の3時間前までには食事を終える
  • 白湯やノンカフェインティーなどで眠気を起こす
  • 体型に合った寝具を使う
  • 適度な運動をする

これらの方法の他、朝食をしっかり食べたり、朝日を浴びるのも体内時計を整えて夜に質のよい睡眠をとるために重要だと言われています。

適度な運動

適度な運動を行うと血行がよくなり、卵巣や視床下部にも充分な酸素や栄養が届きやすくなるでしょう。ホルモンを分泌する器官を健康に保つことで、女性ホルモンの分泌を促す効果も期待できます。

女性ホルモンが減少してきた際におすすめの食べ物

生理周期や年齢によって女性ホルモンが減少してきた際には、ホルモンの働きをサポートする食べ物や飲み物を積極的に摂り入れるのもおすすめです。

食べ物

大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンによく似ていて、疑似エストロゲンのような働きをするとも言われています。生理周期の中でエストロゲンが減少しやすい排卵後や生理中、更年期などは積極的にイソフラボンを摂取してみましょう。

豆腐、納豆、味噌など日常的に食べられている大豆製品に、イソフラボンが多く含まれています。また、女性は生理などの関係で貧血の人が少なくありません。貧血になると、体内のさまざまな器官へ酸素や栄養が行き届かなくなり、女性ホルモンの分泌量も減ってしまう可能性があります。鉄分を多く含む、レバーや牡蠣、しじみなどの食品を積極的に取り入れてみてください。

飲み物

エストロゲンに似た働きを持つイソフラボンは、豆乳にも多く含まれています。毎朝スムージーなどを飲むという人は、豆乳でスムージーを作ってみるのもおすすめです。

また、ハーブの中には女性ホルモンの分泌を促す効果が期待できるものもあります。ラズベリーリーフティー、レッドクローバーティー、ローズティー、ジャーマンカモミールティーなども、積極的に飲んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

女性の体や心の健康と、切っても切り離せない関係である女性ホルモン。「何だか体の調子が悪いな」と感じている場合、もしかすると女性ホルモンの乱れが原因かもしれません。特に女性は、生理中や更年期など女性ホルモンの分泌量が急激に変化するタイミングで、さまざまな心身のトラブルを起こしやすいです。女性ホルモンについての悩みや原因が分からない心身の不調などは、ぜひ婦人科を受診して相談してみてください。

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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