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子宮頸がん検診は何をする?結果の見方は?異形成や要精密検査だった時はどうすればいいの?

医療法人みらいグループ
子宮頸がん検診は何をする?結果の見方は?異形成や要精密検査だった時はどうすればいいの?

子宮頸がんは、女性のがんの中でも比較的若い人に多い病気です。2年に1度の定期検診が推奨されていますが、みなさんは検診を受けていますでしょうか?早期に発見し、治療を行うことが、がんの進行を遅らせるために大切です。

ここでは、子宮頸がんの検査や結果の見方について解説します。

子宮頸がんとは

子宮頸がんとは
子宮頸がんは『子宮頸部』にできるがんです。
日本では、年間約10,000人の方が新たに子宮頸がんを発症し、約3,000人の方が亡くなっています。

はじめは子宮頸部の表面だけに存在していますが、だんだんと深くまで進行したり、子宮体部や膣にがんが広がったりします。ヒトパピローマウィルス(HPV)が原因であることが多く、現在はワクチンで予防できるがんとされています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するといわれている一般的なウイルスです。

100種類以上の型があり、子宮頸がんの発生に関わるのは主に13種類です。
多いのは「16型」と「18型」の2種類で、子宮頸がん全体の約70%を占めています。6型、11型は尖圭コンジローマに関与する HPV型です。

以下の13種類が「ハイリスク型のHPV」に該当します。

●ハイリスク型のHPV

16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58, 59, 68型

HPVの感染自体はよくあることで、子宮頸部異形成と診断されても、その後自然に消退する(治癒する)こともあります。
感染が5〜10年と長く続くことでがんの発生する可能性が高くなるので、「感染を予防すること」「早く発見すること」が重要です。

子宮頸がん検診は何をする?

子宮頸がん検診の目的は、子宮頸部の異常やがん細胞を早期に発見することです。異常な細胞やがん細胞が早期に発見できれば、早く治療を始めることができ、進行を遅らせることに繋がります。

子宮頸がん検診は、自覚症状のない方でも2年に1度おこなうことが推奨されています。公費負担で検診を受けられますので、お住まいの市区町村のホームページなどをチェックして、ぜひ活用しましょう。
東京都中央区の子宮頸がん検診の案内はこちらをご参照ください。

子宮頸がん検診では、以下のようなことをおこないます。

【問診】

HPVワクチンの摂取歴、最終月経、不正出血の有無、過去に検診を受けたことがあるか、妊娠・出産の経験などについて問診をおこないます。

【内診】

クスコという専用の器具を膣から入れて、子宮頸部の状態を確認します。お腹を軽く押して、子宮や卵巣の状態も合わせて確認します。

【細胞診】

検査のため、子宮頸部を専用のブラシでこすって、細胞を採取します。この細胞診がメインの検査です。このとき、少し痛みを感じるかもしれません。少量出血することもあるので、オリモノシートやナプキンを持参していると安心です。

子宮頸がん検診の検査結果の見方

子宮頸がんの検査結果は、10日〜1か月後までにご自宅への郵送かまたは病院に直接聞きに行きます。

郵送でいざ検査結果が届いてみても、「精密検査不要」「要精密検査」のほかにローマ字が並んでいて、「内容がよくわからない」「わからない状態が不安だ」と感じる方も少なくありません。ここでは、ローマ字が何を表しているのか簡単にご紹介します。

検査結果に書かれているローマ字は、子宮頸部の状態を「ベセスダシステム」という方法を使って分類した結果です。この分類を見ることで、「どのくらいの異常があったのか」を大まかに知ることができます。

NILM 異常なし 精密検査不要
ASC-US 正常〜軽度異形成の疑い ハイリスクHPV検査が陽性なら精密検査
LSIL HPV感染、軽度異形成 精密検査
HSIL 中等度異形成、高度異形成、上皮内がん
ASC-H HSILを否定できない
(異形成以上の病変はあるが、程度を判別できない状態)
SCC 扁平上皮がん(子宮頸がんの診断)
AGC 腺系の細胞に異常がある
AIS 子宮頸部腺がんの初期
adenocarcinoma 子宮頸部腺がん
その他の悪性腫瘍 その他の悪性腫瘍の疑い


こちらの表を見てお分かりのように、「要精密検査」となっていたからといって、必ずしも「すぐに何らかの治療が必要な状態(がん)」とは限りません。がんの前段階である「異形成」の可能性が高いという意味の表記もいくつかあります。

とはいえ、精密検査を受けた方がよいという結果であれば、なるべく早めに医療機関を受診してください。

子宮頸がんの精密検査と結果について

子宮頸がんの精密検査は、「コルポスコープ検査(コルポスコピー)」と子宮頸部の組織の採取です。

膣からコルポスコープ(腟拡大鏡)と呼ばれる機器で子宮頸部を詳しく観察したのちに、異常のある部位から組織を採取します。検診で行う細胞診よりも深い部分から採取するため、少し痛みを感じることもあります。出血が少し長引くこともあります。

精密検査の結果は、以下のようになります。

  • 異常なし
  • 慢性炎症
  • 子宮頸部上皮内病変(子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内がん)
    CIN1、CIN2、CIN3
  • 浸潤がん

子宮頸部上皮内病変は進行度からCIN1~CIN3に分類されます。
検診でASC-US(正常〜軽度異形成の疑い)という結果の場合には、通常、コルポスコープ検査の前に「ハイリスクHPV検査」をおこないます。この検査でハイリスク型のHPVが検出された場合にはコルポスコープ検査、検出されなかった場合には1年後の再検査となります。

精密検査後の方針について

組織検査で異常がなかった場合や慢性炎症の場合、1年ごとに子宮頸がん検診を受けましょう。

子宮頸部上皮内病変と診断された場合

軽度異形成(CIN1)であれば、自然に治ることも多いとされていますが、6カ月ごとの定期的な経過観察を行います。

中等度異形成(CIN2)はがんに発展することもあるためCIN1よりは慎重にフォローする必要があります。3か月ごとに経過観察を行います。

高度異形成・上皮内がん(CIN3)の場合や浸潤がんと診断された場合

治療を必要とします。適切な医療機関を紹介いたします。

頻度は低いですが、扁平上皮癌以外の組織が判明することがあります。子宮頸部腺癌(ベセスダ分類でのAGCやAISなど)の場合は、治療が必要になることも多いので精密検査の段階で適切な医療機関を紹介することもあります。

定期的な受診で早期発見を

今回は、子宮頸がん検診を受けた際の結果の見方とその後の方針について簡単にご紹介しました。

子宮頸がん検診の結果で「精密検査」となった場合でも、必ずしも「がん」であるとは限りません。定期的な経過観察でよいレベルの異形成のこともあります。結果を知るのが怖い、受診する時間がないなどいろいろな事情があると思いますが、なるべく早いうちに精密検査を受けましょう。

当院の子宮頸がん検査の詳細

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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