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不定愁訴とは?考えられる原因や病気・対策・診療科の選び方も紹介

医療法人みらいグループ
不定愁訴とは?考えられる原因や病気・対策・診療科の選び方も紹介

しっかり睡眠をとったのに体のだるさが続く。検査をして何も問題がなかったのに頭痛がする。そんな経験をしたことはありませんか?それは、医学用語で言われる「不定愁訴」かもしれません。

この記事では、不定愁訴について意味や症状、原因として考えられる病気、治し方などを紹介します。だるさや頭痛、めまい、ほてりなど頻繁に不快な症状に襲われて困っているという人は、ぜひ参考にしてみてください。

不定愁訴とは

不定愁訴は「ふていしゅうそ」と読み、身体への明らかな異常が無いにも関わらず、さまざまな症状を訴える状態を指す医療用語です。

不定愁訴は英語で「unidentified complaints」。日本語に訳すると「客観的に同定しにくい訴え」とされ、心身の異常を実際に感じているにも関わらず、原因が特定できないため周囲に理解されにくいことが多いです。

「検査をしても原因が特定できないから我慢するしかない」「病気じゃないから」と、周囲にも症状を相談できず不定愁訴に苦しむ人は少なくないでしょう。

不定愁訴に多くみられる症状

不定愁訴には以下の症状が比較的多くみられます。

肩こり、冷え、苛々する、気分が落ち込む、不眠、むくみ、便秘、めまい、体のだるさ、頭痛、耳鳴り、のぼせ、動悸、腹痛、下痢、ふらつき、しびれ、息切れ

不定愁訴に見られる症状は個人差があり、1つの症状が長く続く人や複数の症状が併発する人、異なる症状が順に現れる人などさまざまです。また、症状が現れるタイミングや持続する期間なども人によって違うため、病院を受診しても医師に相談しにくい、伝えにくいと悩む人も多くいます。

不定愁訴を引き起こしていると考えられる原因

不定愁訴は原因が明らかにされていない心身の異常を指しますが、考えられる原因がいくつかあります。

自律神経の乱れ

自律神経は、内臓の働きや血流、代謝、体温調節など生命の維持に欠かせない神経です。自律神経は身体の生命活動に限らず、精神的なバランスを正常に保つためにも働き、心身を活発にする交感神経と心身を休息させる副交感神経に分かれています。交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、さまざまな心身の不調があらわれやすくなることでしょう。

自律神経の乱れは心拍や血圧などをもとに検査することも出来ますが、一般的な検査とは言えません。それは、自律神経が乱れていることを診断できたとしても、自律神経の乱れを引き起こしている原因までは特定できないからです。

自律神経はホルモンバランスの乱れや生活習慣、ストレス、心理的要因などさまざまな影響を受けます。そのため、確定的な診断が難しく不定愁訴となりやすいのです。

病気

不定愁訴は病気が原因で起こるケースも少なくありません。

例えば、酷い肩こりを感じて整形外科を受診したものの、症状は改善されず原因も特定できない。不定愁訴とされていた症状が、実は精神疾患から引き起こされたものだった、というケースなどです。

患者自身も医師から「症状の原因となるような疾患はない」と言われれば、我慢をしたり原因特定を諦めたりしてしまう人が多いです。しかし、不定愁訴を感じる中で、全く予想もしない病気が進行していることもあります。

不定愁訴における自律神経の乱れセルフチェック

原因が分からないという状態は不安を感じるもの。病気の特定は多様な専門科を受診するしかありませんが、自律神経の乱れはセルフチェックで診断することもできます。

以下のチェックリストから、当てはまるもの全てを選んでください。

  • 寝つきが悪く眠りが浅い
  • 食欲がない、もしくは何かを食べていないと落ち着かない
  • 食後に胃の痛みを感じることがある
  • しっかり休んでも体の疲れがとれない
  • やらなければいけない事があるのにやる気が出ない
  • 漠然とした不安を感じて落ち込む
  • 集中できない
  • 風呂上りなどでも手足が冷える
  • 1年間で5kg以上太った

上記のチェックが多いほど、自律神経が大きく乱れている可能性があります。

男性と比べると女性は不定愁訴があらわれやすい

不定愁訴を訴える人を性別で分けると、男性に比べて女性の方が多い傾向にあります。これは、女性の方がホルモンバランスの乱れによって自律神経が影響を受けやすく、さまざまな不定愁訴を感じやすいからと言えます。

女性のホルモンバランスは生理周期に合わせて変動を繰り返すものです。特にPMS(月経前症候群)や更年期障害の人は、ホルモンバランスの乱れから自律神経に影響を受け、不定愁訴を起こしやすいと言われています。

不定愁訴を引き起こす可能性のある病気の例

不定愁訴を引き起こす可能性のある病気には以下のものがあります。

PMS(月経前症候群)

PMS(月経前症候群)は月経が始まる3~10日前くらいから、さまざまな心身の異常が起こる病気です。PMSが起こる原因ははっきりと分かっておらず、下腹部痛や頭痛、動悸、めまい、不安感、疲労感、無気力などさまざまな症状がみられます。

更年期障害

更年期障害は、閉経の前後10年間に現れるさまざまな症状の総称です。日本女性の閉経時期の平均は55歳なので、45~55歳の女性に起こりやすいと言えるでしょう。火照りやのぼせ、発汗、動悸、気分の落ち込み、情緒不安定などの症状が起こりやすいと言われています。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、鉄分が不足することによって起こる貧血で、動悸、息切れ、めまい、立ちくらみ、疲労感などの症状が起こりやすいと言われています。鉄欠乏性貧血は月経のある女性に特に起こりやすく、経血量が異常に多い月経過多などが原因になっているケースも少なくありません。

子宮や卵巣の病気

子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍など子宮や卵巣に関わる病気が原因で、ホルモンバランスが乱れさまざまな症状があらわれるケースもあります。特に、頭痛、倦怠感、疲労感、肩こり、腰痛などの症状を訴える人も多いです。

不定愁訴の対策方法

原因が特定できない不定愁訴。少しでも症状を和らげるために、以下の対策方法を紹介します。

生活習慣や食生活を見直す

夜更かしや食事を抜くなど、生活習慣や食生活が乱れると自律神経に影響を与えやすくなります。早寝早起きや、適度な休息、3食バランスの取れた食事など生活習慣と食生活を整えることで、自律神経の乱れを改善しましょう。

ストレスの発散

仕事内容や人間関係によるストレスから自律神経の乱れを引き起こすこともあります。趣味や外出を楽しむなど、ストレスを発散させることも不定愁訴対策として効果が期待できます。

運動をする

継続した運動を続けることで、ストレス発散、食欲増進、血流の向上、睡眠の質の向上などさまざまな効果が期待できます。運動は自律神経の正常化にも効果が期待できると言われているため、スポーツジムでトレーニングをしたり、ウォーキングや水泳など持続できる運動を生活に取り入れてみてください。

不定愁訴で病院を受診するなら何科がいいの?

不定愁訴に悩み、症状の改善を希望するため医師に相談したいという人も多いです。しかし、どの診療科を受診すればよいのか悩むケースがもあります。

不定愁訴で受診する場合、以下の診療科を検討してみてはいかがでしょうか。

不定愁訴外来

近年、不定愁訴という言葉が広く知られるようになり、不定愁訴を専門として謳っている診療科もあります。しかし、実際は特定の診療科の中の不定愁訴外来であることが多く、総合診療を受けられる不定愁訴外来は少ないでしょう。不定愁訴外来を受診するのであれば、なるべく多くの診療科がある病院を選ぶのがおすすめです。

内科などのかかりつけ医

不定愁訴の診療には検査以上に親身な問診が重要と言われています。症状を感じていても、それらを適切に表現できる患者さんはあまり多くありません。医師を前にすると緊張してしまったり、「こんな些細な症状は言わなくてもいいかな」などと自己判断してしまったりすることがあるからです。

普段から付き合いのあるかかりつけ医なら、リラックスし些細な症状まで相談しやすいでしょう。病気でなくても健診などを受けて定期的に顔を合わせ、かかりつけ医と何でも相談できる関係性を築いておくことが大切です。

婦人科

女性の場合、婦人科を受診するのもおすすめです。女性は月経や閉経などによりホルモンの乱れから不定愁訴を起こしやすい傾向にあります。特に40代後半になると更年期障害が原因で不定愁訴を訴える人が増加します。

婦人科というと、月経の異常など身体的な婦人科系疾患が出なければ受診しないという人も少なくありません。しかし、女性の中には婦人科を受診したことで不定愁訴の改善ができる状態の人も多いのです。

「婦人科系の疾患以外でも受診してもいいの?」と不安な人は、定期的に婦人科健診を受けるのがおすすめです。子宮がん健診や乳がん健診などは定期的な検査が推奨されていますし、その際不定愁訴について相談するのもよいでしょう。

まとめ

原因不明で周囲の理解も得にくいことから、1人で抱え込みがちな不定愁訴。「どこも悪くないんだから我慢しなければ」と無理を続けると、思いもよらない大きな病気を引き起こす可能性もあります。ぜひ今回紹介した対策方法や診療科を参考にして、不定愁訴の症状を改善してください。

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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