HOME > 婦人科のご案内 > ミニピル(POP)について

ミニピル(POP)について

医療法人みらいグループ

ミニピル(POP)は、低用量ピル(OC)とは異なりエストロゲンを含まない、プロゲスチン単独の薬剤ですが、正しく服用することで、低用量ピルと同等の高い避妊効果を得ることができます。
これまで、血栓症等のリスクから低用量ピルを使用できなかった方も、ミニピルであれば使用できる可能性がありますので、避妊について検討されていましたらご相談ください。

スリンダ錠28

スリンダ錠はエストロゲンを含まない経口避妊薬として2025年5月に国内で初めて承認されました。
いままで避妊薬として広く使用されてきた低用量ピル(OC)はエストロゲンとプロゲスチンという2種類のホルモンが含まれていますが、この薬はPOP(Progestin-Only Pill)とも呼ばれており黄体ホルモン(プロゲスチン)単独の薬となっております。
このためエストロゲンによっておこる副作用症状(吐き気や頭痛、むくみ)などが起こりにくい可能性があり、重大な合併症である血栓症のリスクが少ない薬といえます。
今まで低用量ピルを使用できなかった方も使用できる可能性があります。
避妊効果は低用量ピルと同等とされており避妊を目的とした治療として新たな選択肢になる薬です。

スリンダ錠の成分

有効成分はドロスピレノンという黄体ホルモンで、低用量ピル(ヤーズ配合錠®、ドロエチ配合錠®、ヤーズフレックス配合錠®、アリッサ配合錠®)にも含有されているプロゲスチンです。ドロスピレノンは第4世代の黄体ホルモンであり黄体ホルモン作用に加えて抗アンドロゲン作用(男性ホルモンを抑える作用)や抗ミネラルコルチコイド作用(体内の水分を抑制する作用)を持つ特徴があります。

スリンダ錠の作用機序

スリンダ錠の作用機序

① 黄体ホルモン投与により卵胞の発育や排卵を促す下垂体ホルモンの分泌が低下し排卵を抑えます。
② 子宮内膜が厚くならずに、受精卵の着床を防ぎます。
③ 子宮頚管の粘液の性状を変化させ、精子が子宮内に進入するのを防ぎます。

スリンダ錠の避妊効果

臨床試験で算出されたパール指数は約0.3917と報告されており、100人の女性が1年間スリンダ錠を正しく服用した場合に妊娠する人が0.4人程度ということになります。
この数字は、従来の低用量ピルのパール指数(約0.3~0.9)と同等のきわめて高い避妊効果といえます。ただし、避妊効果を最大限に発揮するためには、毎日忘れずに正しく服用することが重要です。

スリンダ錠の内服方法

スリンダ錠の内服方法

スリンダ錠は1シート28錠で、白色の24錠がホルモン成分の入った実薬、淡黄色の4錠が偽薬(プラセボ)となっております。月経開始1日目から服用を開始し、毎日1錠ずつ同じ時間に28日間連続で飲み続けます。

飲み忘れた場合の服用方法

飲み忘れた場合の服用方法

ただし飲み忘れにより妊娠のリスクが高くなりますので毎日決まった時間に服用する習慣をつけてください。

スリンダ錠の価格

当院では、スリンダ錠28を1シート 3,300円で処方しております。保険適用外のため医療費は全額自己負担(自由診療)となります。

スリンダ錠を服用するメリット

従来の低用量ピルと異なりエストロゲンを含まないので、血栓症(静脈血栓塞栓症)のリスクが低いことが挙げられます。低用量ピルが内服できなかった40歳以上の喫煙者、血栓症のリスクが高い方、高血圧や肥満の方なども適応となる可能性があります。
エストロゲンを含まないことで吐き気や頭痛、乳房の張りなども起こりにくい可能性があります。またドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用によりむくみや体重増加を抑える効果も期待できます。

スリンダ錠の副作用

主な副作用として不正性器出血が挙げられます。この不正出血の頻度は従来の低用量ピルと比較して高頻度に起こる可能性があります。出血量としてはそれほど多くはないとされていますが、出血予定である期間以外での予定外の出血となります。出血していても避妊効果は保たれるので服用を継続してください。不正出血が多くなったり長期間続く場合はご相談ください。そのほかの副作用症状としては頭痛、腹痛などが報告されています。月経痛は改善することが多いですが不正出血時の腹痛や腹部不快感の頻度が増えるかもしれません。

スリンダ錠を服用する際の注意事項

  • 抗てんかん薬や抗生物質など、一部の薬剤効果に影響がある可能性があります。
    常用している薬がある場合は、スリンダ錠内服開始時に主治医に相談してください。
  • 乳がんまたはその疑いのある方は服用できません。
  • 診断が確定していない異常出血がある場合は検査による診断を受けてから服用を開始してください。
  • 安全に服用を継続するために、定期的なフォロー(採血やエコー評価)が必要です。
  • 避妊効果を持続させるために、毎日忘れずに正しく服用することが大切です。
  • 感染症を予防する薬ではありません。ご自身を守るための対策(コンドーム使用など)も併用してください。